今ひきこもっている君に話したいことがある。

                                                         
君は世間の常識というものが大嫌いだろう。社会は君を認めてくれない、働かせてくれない、活躍させてくれないと絶望しているだろう。そんな君は、基本的に正しいんだ。君はすぐれた自尊心を持っているのだ。
                                                          
こんな社会でまともに働く人間なんて、まったくどうかしているよね。でも、現実には何かして働かないといけない。現実というやつは、そうなんだ。じゃあ、君はどうする。
                                                                                                                
この問題をうまくクリアした私が、そのやり方を教えてあげよう。私は50歳を過ぎた今もひきこもりをつづけて週2日だけ医者をしている。医者としての腕はなかなかで、ほかの医者が手も足も出ない患者さんの治療が好きで、大の得意だ。私自身がとても重い病気だから、病人の気持ちがよくわかるだけじゃない。たいていは私より軽い病気の人ばかりだ。私はずっと医者にも薬にも頼らないで、自分自身を支えて生きてきた。そのテクニックを使えば、たいていの患者さんはなんとかできる。でも、週2日働くのが限界でもあるんだ。幸い、週2日医者をして働くとかなりよい収入になる。このペースでいけば、まず90歳くらいまでは元気に働きつづけられるだろうと確信できるくらいだ。要は、自分の欠点を埋めようとするのではなく、長所をどこまでも伸ばそうとすることだよ。
                                                                                                                
人間は、やさしい話ばかり聞こうとする。人間は、自分に厳しい話は聞こうとはしない。そうして生きる人間は、堕落する。私はそれがイヤで、厳しい話をしてくれる師匠ばかり探して歩いた。インドやチベットの言葉を話せるようになって、向こうの世界に長く暮らしたんだ。いつのまにか、私に厳しいことを教えてくれる師匠がいなくなってしまった。仕方がないから、いまは自分の中にそういう教えを探し求めている。堕落した人間になりたくない人のために、人生の知恵が存在したけれど、だれも耳を傾けないから、どこかに隠れてしまった。どこに隠れたのか。真実は、いつも灯台下暗し、だ。真実は、人間の根っこの中に隠れてしまった。だから、生きる知恵をふたたびとりかえすには、自分の根っこを探りあてるしかない。
                                                                                                                
人生をゲームにしてはいけない。世界をゲームにしてはいけない。これが人生の知恵の鉄則。ゲームは暇つぶしにすぎない。ホイジンガという人がいうとおりだ。人類の文明の発展は、ゲームを発達させる歴史だった。スマホゲームだけじゃないぞ。スマホがゲームそのものだ。コンピュータ、ビジネス、仕事、経済、政治、結婚、オリンピックすべてがゲーム化している。人との競争で格差が生まれ、勝つか負けるかだけが評価の基準だ。うまく勝てればよいよ、負けた人のフォローもしてあげなくちゃね、というのがゲーム化社会の合言葉だ。こういう言葉がウソ臭いと感じて、社会と関わりたくないから、多くの人がひきこもろうとする。よくわかるね、その気持ち。それでも、何とかやっていこうとすると、自分をダマシダマシやっていくことになるけれど、みんなそうしてるんだよね。
                                                                                                                
それじゃあ、よくないんだなぁ。社会や世間がおかしくったって、それで君がひきこもってよいという理由にはならないよ。もし、君が社会や世間ばかりに責任を押しつけているとすると、それはバランスが悪い。自分自身がちやんと生きることを、君は忘れてはいけない。社会や世間がどうあれ、自分を大切にしないという理由にはならないし、むしろ、だれも自分を大切にしない世の中だから、君はいっそう自分を大切にしないといけない。そういう意味で、世間の声に耳を傾けてはいけない。自分の声だけに耳を傾けよう。最近は、自分の本心がわからない人ばかりだが、自分の声は脳の中にある。脳は身体の出張所だから、けっきょく自分の声は身体の中にある。この声は言葉にはならないから、無意識と呼ぶことにしている。この無意識とコミュニケーションすることを、インドでは योगा (ヨーガ)、チベットでは རྣལ་འབྱོར་(ネージョ)という。TVや雑誌で見るようなヨガのポーズは健康的なイメージだが、実践している人々の精神はけっして豊かにはならない。ヨーガは無意識とのつながりを求める実践的な生理技術だ。自分の根っこと喧嘩して成長できるだろうか。無意識は根っこそのもので、君そのものだ。根っことつながると自分自身が見えてくる。何をすればよいか見えてくる。自然と智慧と能力がついてくるから得意なことで活躍できるようになる。私もチベットでネージョをまなび、脳がアップグレードして、現実と妄想に混乱し苦しんだけれど、国立大学の医学部に最短時間で入って、最優秀の成績で卒業した。医者になってからは同級生たちの3分の1も働かないが、治療成績は伸びつづけて、治療できる範囲も精神科から内科、腫瘍科、整形外科、婦人科、皮膚科まで拡大しつづけている。どんな医者に相談してもどうしようもなかった患者さんたちが頼りにしてくれるとき、ほんとうのやりがいを感じる。
                                                                                                                

世間や社会という自分の外の声で、自分を縛りつけるのは、あまりにつらすぎる。だから、自分の根っこをよく見つめよう。自分自身の根っこは、脳であり身体だ。身体のなかに真実の声が響いている。自分の根っこと喧嘩する人は癌になりやすい。癌の人は、たいてい自分自身の根っこと喧嘩している。癌は自分の身体に対して反旗を翻した細胞軍団だ。自分に合わない生活をしていると、身体がもたなくなって、癌ができる。自分の根っこと喧嘩してまで生きていると、その人の身体が抗議行動に出る。それが癌という生理現象だ。癌は、人間の無意識が物質化した真実の声なんだ。癌=真実の声を手術で切りとり、抗がん剤や放射能でやっつけることが、よいことだと思うかい。癌は現代社会のあり方を象徴している、と私は思うなぁ。

                                                                                                                                                                    

能力を高めて活躍するにしても、健康に生きるためにも、自分の根っこ=無意識=脳=身体にアクセスするヨーガをおこなうことが、よく生きる秘訣だ。ヨーガが、人生や世界をゲーム化してはならぬ、と教えているんだよ。古代のヨーガのやり方を現代人が実践するのは難しいばかりでなく、リスクが高い。私がその受益者であり、被害者でもあるから、全貌がよくわかる。その代わりになる方法を、現代医学の方法をとりいれてつくりあげて、やってみたい人には教えているよ。理想的な脂肪の摂りかた、ランニング法など、さまざまなやり方があるけれど、人ごとに必要なものが異なるので、そこは個別のカウンセリングが必要になるね。ライザップじゃあないけれど、私は確実な効果をかならず実現したい。失敗する人のカウンセリングは絶対に引き受けたくない。だから、人生一発逆転の究極の決意を固めることができた人だけ受け入れている。なにしろ、自分自身の根っこに出会いたいばかりに、日本や中国や台湾やインドやチベットの山奥でひたすら厳しい修行に打ちこみ、一年足らずで医学部入学をはたした私だから、あんまりやさしいことは言わないかもしれない。でも、まぁ、私を見てくれれば、安心できると思うなぁ。だって、私は底ぬけにぐうたらの怠け者だ。週5日は遊んで暮らしてる。こんな私でもできるのだ、きっと君にもできるよ(医師・ゆふ しこを)。