医者はとても有害な病気をもたらす 

 

そのことに私は気づいている

 

 臆病・怯懦・妄信・死の恐怖が植えつけられる

 

 医者は身体を治すが 心を殺す

 

 私たちは人間であるし そうあるべきだ

 

 だが 医者の手から 人間が出てくることはない

 

〜『エミール』(ジャン=ジャック・ルソー)から〜

 

 

 

いまも私のなかで ルソーの考えが共鳴しつづけています

 

小さな時分から お医者さんの前に出ると

急に自分が小さく弱く脆い存在になるような気がするため

お医者さんを敬して遠ざけてきました

 

私は敗者の道を歩みつづけて死ばかり見つめる時期をすごしました

そんなとき 医師になってやりなおせ、といわれたことが契機となり

天啓に打たれたように 医師の道を歩むことになりました

 

門外漢が医療界に入ると 知られざる事実にたくさん気づかされます

 

いちばんおもしろいと感じたのは 患者の目からみると 

医師は 摩訶不思議な力をつかう魔術師 のようにも映るのに

そのことを 当の医師たちが自覚していないことでした

医師は自分自身の魔術師性や呪力について無自覚なのです

 

がんという病気があります

がんはものすごく恐ろしい病気というイメージがもたれています

でも がんという病気のほんとうの恐ろしさはよくわかっていません

 

がんで亡くなった方々が 

がんそのもので亡くなったのか

がんと宣告されたショックで死期がとてつもなく早まったのか

その違いについて決定的な答えは見つかっていないのです

(いいえ 気づいている人たちが 口をつぐんでいるのです)

 

がんが恐ろしい病気だというイメージをつくったのは権威者側でしょう

だから がんといわれた患者は医療者に依存的になるしくみです

がんと宣告されたときから 人間はその自主独立性を奪われてしまう

呪われた強制力を徹底的に恐れ 嫌ったのが ルソーというわけです

 

 

 

医学は 科学です

 

治療を受ける患者も 医療をほどこす医師も 人間です

 

人間は 知性や理性によって生きているつもりです

じっさいに人間の人生を動かしているのは 前理性的な「こころ」です

 

「こころ」は むしろ「呪いの力」や「言霊」と近いものです

聖書が「はじめに言葉があった」というのも その「こころ」です 

 

 

医師になるまえの私は
哲学や宗教学に深い関心を寄せていました 

 

机上の空論をもてあそんでいては けっして見えないものがあります

人間の「人生」にむきあって はじめて見えるものがあります

 

哲学や宗教が 思いもよらないところで

理解不能で不合理な「こころ」を統御する方法を教えていて

人生のどんな苦悩や困難をも切りぬける「からだ」を回復させる

そのことを身をもって臨床の現場で知りました

 

私自身 哲学や宗教の研究に没頭していたときには

まったく見えてこなかった人生の意味や目的が

患者さんの治療にとりくむなかで やっと見えてきたのです

 

 

臨床の現場では 患者さんだけが恢復するということはありません

患者さんがよくなるとき 医師もまた恢復しているのです

医療とは 患者がよくなり 医師もよくなる 相互行為です

 

 

高みに立って一方的に患者に変容を押しつけるのではなく

私自身も同様に変わることをめざす医療をおこなっていれば

あのルソーだって 相談しに来てくれるのではないでしょうか

 

 

自分は何にも変えるつもりはないよ 

病気って医者が治してくれるものだろう 

何かあれば医者に行けば安心だ

 

そんなお考えの方には 絶対の自信をもって 

よそのお医者様をおススメいたします 

 

 

世の中のことはたいてい自分の思うようにならないけど 

 

せめて自分自身のことはできるかぎり自分でやってみたい

 

薬や手術じゃなくて 生命力を発露して強くしなやかに生きたい

 

人生をまるごと受けとめてサポートしてくれる医師がいないだろうか

 

そうお考えのあなたに ぜひ 私から提案がございます

 

 

 

私自身が

 

いまこの生命を健やかに生きて

 

しっかり死にきるつもりで 人生を送っています

 

そして そんな生き方へとつながる医療活動をおこなっています

 

あなたにお目にかかる日を 心から楽しみにお待ちしています

 

                    遊方之外(ゆふ しこを)